まずは、アプローチの基本的な考え方です。
グリーン外からパターを使うのが、沽券にかかわると思っている気取り屋がいる。
だが、アメリカではプロ競技でさえも、さかんに使われており、彼らはこれをテキサス・ウェッジと呼んでいる。
~ダイ・リース(イギリスのプロゴルファー)~
アプローチの重要な点は、パター使える場合は、パターを使うこと
まずは、これが、「スコアに直結するアプローチのコツ」です。
それでは、続いて「アプローチショットを極めるコツ」です。
まずは、アプローチショットの基本をおさらいしましょう
パッと読むための目次
アプローチを極める6つのコツ
ボールの位置
アプローチには3つの種類があります。
- 転がしていくランニングアプローチ
- 上げて転がすピッチエンドラン
- 上げて止めるピッチショット
3つの打ち方の一番の違いはボールの位置だけです ~ 藤田 寛之 ~
賞金王にもなった藤田寛之プロは、アドレスの構え方は同じでも、ボールの位置を変えるだけで、3つのアプローチが打てると言います。
ランニングアプローチ
低い出玉でランを多く使いたいときはボールの位置は右足寄り
ピッチ&ラン
キャリーとランを同じような割合で使うイメージのピッチ&ランで寄せるならボールの位置はセンター
ピッチショット
ボールを上げてキャリーを使いたいときはボールの位置は左足寄りにして、フェースをオープンに構える。
つまり、同じクラブでも、構えは変えずに、ボールの位置を変えるだけで3種類の寄せ方ができるのです。
どのアプローチショットを選ぶかは、ボールからエッジまでの距離やピンまでの距離、さらには、グリーンのアンジュレーション(傾斜)などによって、使い分けることになります。
3つのアプローチの中でも、フワッと上がってピタリと止まるピッチショットは、別名「ロブショット」とも言います。
このロブショットは、アマチュアゴルファーが憧(あこが)れるアプローチですが、非常に難易度の高いアプローチです。
藤田寛之プロは、「ロブショットはピッチエンドランの延長」と言いますが、失敗すると大ケガのもと、100切りには必要ないアプローチなので、やめたほうがいいでしょう。
ボールとグリーンまでの間にバンカーなどの障害物がなく、グリーン面を長く使える状況ならランニングアプローチが一番ミスが少なく、一番寄る確率が高いアプローチになります。
打ち方
アプローチの打ち方の最大のコツは、
「アドレスでの右手首の角度をスイング中キープする」ということです
アプローチのスイング中に手首の角度が変わってしまう人の多くは、次のような動きがみられます。
- ボールを上げようとして、しゃくり上げてしまう
- ピン方向にまっすぐヘッドを出そうとする
この様な動きが出ると、右手首の角度が保てず、ダフリ・トップのミスが出やすくなります。
フォロースルーをまっすぐ出そうとすることも、両手首の角度が変わり、フェースが正しい位置に戻らなくなってしまう原因です。
選択するクラブ
基本となるアプローチを習得するためには、使用クラブを考える必要があります。
アプローチでのクラブ選択の考え方は、2つのタイプに分かれます。
1本のクラブで距離や球筋を打ち分けて寄せるタイプ
得意なアプローチのクラブがあると、スコアメイクにはとても有利になります。
ただ、「アプローチはサンドウェッジ」という固定観念をもつアマチュアゴルファーが多いのですが、ロフトが大きいサンドウェッジは難しく、ミスしやすいクラブなので、ゴルフ初心者にはあまりおススメできません。
ピンまでの距離に応じて使用クラブを替えていくタイプ
アプローチのコツは、打ち方は変えずにクラブの番手を変えること。
弾道や距離のコントロールはスイングではなく、クラブの機能に任せるというタイプです。
実は、どちらのタイプも間違いではありません。
ただし、1本のクラブを使って、クラブフェースを開いたり、ボールの位置を替えたりして弾道や距離を打ち分けるとスイングが複雑化します。
打ち方を同じで転がす距離に対してクラブを替えるという方法がシンプルで大きなミスは少なくなるでしょう。
ピンまで距離があれば、ロフトが少ない8番アイアンなどのボールが転がるクラブを、ピンまでの距離が近ければ、ロフトが大きなウェッジなどのあまりボールが転がらないクラブを選択することになります。
アドレス
グリップ
藤田プロは、「ショットはパットの延長であり、アプローチはその中間に位置する」といいます。
なので、アプローチは、ショットとパットのそれぞれの要素を有しているということです。
プレーヤーによってはパットのグリップでアプローチ。打ちやすいイメージが出やすい方で構わない。
~ 藤田 寛之 ~
パターのグリップでアプローチするのも、ショットのグリップでアプローチするのも、どちらでもOKということです。
ただ、どちらのアプローチにするにしても、共通するコツがあります。
構え
アプローチのアドレスの共通するコツは、ボールの位置がカラダに近くなる分、クラブを短く持つことです。
また、アプローチショットは、飛ばす必要ははありませんし、体重移動が不要なので、スタンス幅は狭くなります。
また、スタンスを狭くすることは、スイング軸を安定させ、正確にボールをヒットする意味でも有効です。
スタンスを狭くし、ボールの近くに立ち、クラブを短く持つことで、必然的に、アプローチの構えはコンパクトになります。
オープンスタンス
アプローチのスタンスの基本は、オープンに構えます。
ボールの近くでスクウェアにスタンスをとってしまうと、フォローで腕がつまって、クラブの振りぬきが悪くなるからです。
なお、アプローチをパットのように打つタイプの人であれば、スタンスはオープンにする必要はありません。
アドレスでインパクトの形を作っておく
いつも一定のインパクトをするために、私はアドレスで事前にインパクトの形を作っておきます。
~ 藤田 寛之 ~」
つまり、グリップ、構え、スタンス、インパクトの形も含め、
「決めた動きを正確に繰り返せるかどうか」
これがアプローチのアドレスの条件であり、アプローチを成功させるコツでもあるのです。
距離感
ピッチングウェッジ(PW)で腰から腰までのふり幅で打ち、その時のボールの飛び方とキャリーの飛距離を把握しておくことで、1つの距離の基準を作ります。
同じことをアプローチウェッジ(AW)やサンドウェッジ(SW)でもやってみましょう。
AWは、PWよりもロフトがありますから、ボールが上がって飛ばなくなります。
その飛び方とキャリーの違いを把握しておくことで、「あなたなりのアプローチの基準」を作っていきます。
たとえば、
あなたのPWのフルショットが100ヤード
肩から肩までのハーフショットでは70ヤード
右腰から左腰までのスリークウォーターショットでは50ヤードだったとします。
この3つのふり幅にアプローチウェッジやサンドウェッジも加えれば、合計9つの距離がウェッジだけで打ち分けられることになります。
そして、この「基準の距離」に足し算・引き算をすることで、さらに、細かいアプローチショットの打ち分けが可能になります。
たとえば・・・、
90ヤードという中途半端な距離の場合、ピッチングウェッジでのフルショットのスイングスピードを遅くする。
あるいは、50ヤードのハーフショットで、少しスイングスピードを速くさせて、60ヤードに対応させる。
などなど、ハーフショット、クォーターショットであなたなりの距離感を確立することが、アプローチ上達のコツとなります。
イメージ
アプローチを打つ前に、キャリーの距離感、どれくらい上げて、どの位置に落として、どれくらい転がすのかということを明確にイメージしておく必要があります。
そのイメージがなければ、アプローチショットは成功しません。
そのためには右手のフィーリングが大切です。
イメージとしてはボールを右手で持って、下手投げで、落とし場所にポーンと投げる感覚でスイングしましょう。
「ポーン、トン、コロコロ」というイメージができるまで、何度も何度も素振りをすることも、イメージ作りには、とても有効です。
アプローチの成功率を高めるドリル
小さいふり幅のアプローチショットだけに、正確にボールをヒットすることが「どれだけカップに寄せられるか」の大きなポイントになります。
そこで、アプローチの成功率を高めるための効果的な練習法を4つご紹介します。
インパクトでいつもフェースが一定に入る練習法
このドリルは、右手1本でボールを打つというものです。
左手は右ひじに添えて、アドレスの手首の角度のままスイングすることで、両手でクラブを振っていたのでは、わからないフェースの入り方が体感できます。
右手1本でアプローチをすると、早く振ることもできないので、アプローチでのスイングリズムの取り方も実感できます。
振り子のリズムを身につける
このドリルは、先ほどのドリルとは逆に、左手1本でボールを打つドリルです。
左手1本でアプローチすることで、左肩を支点にヘッドまで一直線の振り子運動が体感できます。
このドリルでは、左肩の支点を意識しやすく、親指の向きが変わるとスムーズに振れないので、アプローチの基本が身に付きます。
また、振り子の支点を左肩に置くことで、スイングの最下点をボールの先に持ってこられるので、ほんの少しダウンブローでとらえる感覚も身につきます。
このドリルは、右手はお腹に当てて、スイング中に、お腹が左右に向くのを意識しましょう。
左肩から先だけを揺らすのではなく、左脚の曲げ伸ばしを使いながら、お腹を揺らしましょう。
お腹を動かして腕を揺らす、お腹の動きで左腕が振られるイメージです。
左手だけで打つのが難しいと感じたら、右手が上、左手が下のクロスハンドグリップから始めてみましょう。
ダフリ、トップを防止する練習法
アプローチのミスの原因は、ボールを上げようとする「すくい打ち」にあります。
ボールは、ロフトが勝手に上げてくれるもので、あなたが上げるものではありません。
そのロフトを活かすには、上からボールを打ちこむことが条件です。
そこで、「左足1本」で立って打つ練習をしてみてください。
左足1本では、「すくい打ち」はできなくなるはずです。
アプローチショットのインパクトを安定させるには、「片手打ち」「片足打ち」ドリルはとても効果的ですので、ぜひお試しください。
スムーズなアプローチを身につける方法
このドリルは、振り子をイメージしながら、ペットボトルの水を揺らさずに素振りをするものです。
具体的には、ペットボトルに3分の1くらい水を入れ、蓋(ふた)の方を下にして握ります。
下にたまった水が暴れないように素振りをすることで、自然と、手首の使い方や振り子の動きが身に付きます。
慣れてきたら、クラブとボトルを一緒に握って、球を打ってみましょう。
両手のひらで左右から挟み込むようにクラブとペットボトルを握るのがポイントです。
アプローチは遊び感覚
リズムを意識して打つ
アプローチが上達するには振り子の動きをイメージすること。
そして、振り子の動きで重要なのは「リズム」です。
なので、アプローチの練習では、「むやみに連続打ちせず、1発1発素振りを交えて、「イチ」「二」「サン~」とリズムを口ずさみながら、練習を行うと効果的です。
スイングリズムは、「70拍」くらいの速さ目安と言われていますが、あなたに合ったリズムを探すのも、アプローチ上達のコツでしょう。
3つの弾道で打つ
アプローチの練習では、同じクラブで、何球も、同じターゲットに向かって、打っている人がいます。
遊び感覚でアプローチが上達するには、1本のクラブで、ボールの位置を替え、3つの弾道で、同じターゲットに向かて打つ練習がおススメです。。
例えば、アプローチウェッジ(AW)で、同じふり幅で20ヤード先のターゲットに打ってみます。
スタンスのセンターにボールを置いてピッタリだとしたら、ボールを右足に寄せればオーバーします。
右に寄せればロフトが立った状態でインパクトするので低めの球が出るからです。
その逆に、ボールの位置を左寄りにすればショートします。
左に寄せればロフトが増えるので高さのあるボールが出るからです。
このように、遊び感覚でボールの位置を変えながら、アプローチの練習をしてくと、アプローチの距離感が出てきます。
実戦では、グリーンの早さによって距離感が変わりますが、とりあえずは、この方法でベースとなるキャリーの距離感を養うことをおススメします。
グリップを変える
パッティンググリップは、ありとあらゆる形を試してきて、いまでもフィーリングによって変えていることで有名な片山晋呉プロ
実は、アプローチの時も、いろんな握り方をしているようです。
もちろん基本のアプローチショットは、普通のオーバーラッピング
でも、状況や打ちたい球によって、グリップを変えているのです。
たとえば・・、
- ノーマルグリップで左手小指を外す
- ベースボールグリップで左手小指を外す
- ベースボールグリップで左手小指と薬指の2本を外す
- ノーマルグリップで左手小指薬指を曲げる
などなど
アプローチのグリップは5種類以上あるというのだから驚きです。
特によく使うグリップが「ノーマルグリップで左手小指を外すバージョン」
このグリップは、「少しインパクトをソフトに打ちたいときにいい」そうです。
「本当にイメージだけ。いろいろ試して、今まで打てなかった球が打てるようになるのがうれしくて、遊びの延長で身につけた」
「常識とかせおりーに縛られていたら、成長できない」
~ 片山 晋呉 ~
まさに、遊びの延長でアプローチの技術を身につけた片山晋呉プロならでは・・です。
右に飛んだら、左に振るあるいは左を向くというようにシンプルに動くだけ・・・、
ジュニアゴルファーが上手いのは、スイングをあまたで考えないからです。
ゴルフ理論で固めると、「頭を残す」、「ヘッドをインから下す」、「もっとフェースターンを使う」などなど、それではアプローチが寄るわけがないですよ。
アプローチは状況によって変わります。そこで頼りになるのは、「感覚」しかありません。
あなたも遊び感覚でアプローチのスイングを変えてみましょう。
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以上「アプローチを極める6つのコツ」をご紹介しました。
このほかにも…、
- 「アプローチでザックリしてしまう・・」
- 「グリーン周りを行ったり来たりしてしまう・・」
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