普段から猫背の人は、ゴルフのアドレスでも猫背になっています。
自分は猫背じゃないという人でも、実は多くの人が気付いていないだけで、猫背または猫背予備軍の人が少なくありません。
肩こりや四十肩、五十肩、首のこり、頭痛、目の疲れ、腰痛、ひざ痛などなどの症状が出ているあなたはその不調の原因は猫背かもしれません。
もちろん、猫背はゴルフにも悪い影響を及ぼします。
- 体の回転を妨げる
- スイングが小さくなるため、飛距離が出ない
- 体の上下動を誘発し、トップやダフリが出やすくなる
このように猫背はゴルフスイングに良い影響を及ぼしません。
猫背を改善して、正しいゴルフスイングを行えるようにするためには、普段から背筋を伸ばして姿勢を正すことが必要ですが…
意識して背筋を伸ばしても、気づくと元に戻ってしまう。
そんな方が多いのではないでしょうか?
猫背の原因を知ることで、その原因に応じた対策を実践すれば猫背は10秒で治せる
~猫背矯正治療院V-Style院長 小林篤史~
ということで、今回はゴルフのスコアアップにもとても有効な「猫背の疑問」や「猫背の治し方」についてご紹介いたします。
参考文献:小林篤史著「ねこ背は10秒で治せる」
パッと読むための目次
なかなか猫背が治らない理由
猫背を治す方法として次のような方法が良く紹介されています。
- 耳、肩、くるぶしが一直線になるように立つ
- 頭のてっぺんから吊られているように立つ
- 壁を背に、後頭部、肩甲骨、かかとをつけて立つ
しかし、いくら背中を伸ばしても、いくら首を後ろに引いても、いくら肩を後ろに回しても、いつの間にか、元の姿勢に戻ってしまいます。
「正しい姿勢なら、何分たっても疲れない。」とはよく言われていることですが、猫背の人にとっては、正しい姿勢の方がむしろ疲れる姿勢であって、多くの弊害を招く猫背の方が楽に感じる姿勢なのです。
ですから、いくら胸を張り、ピンと背筋をまっすぐにしようと「意識」しても、猫背の状態がしっかりと形状記憶されている人にとっては、「意識」しなくなった瞬間から楽な猫背の姿勢に戻ってしまいます。
また、猫背になってしまうのは、「姿勢を保つ筋力が劣っているから」ということもよく言われます。
確かに、筋力の低下は猫背を引き起こす原因の1つではありますが、実は、筋トレをしたからといって猫背が良くなるわけではないのです。
猫背がもたらす不調
猫背とは、次のような姿勢や身体状態のことを指します。
- 背中全体が丸い
- 顔(首)が前に出る
- 肩が前に出る
猫背は、デスクワークの椅子に座ったパソコン作業、電車通勤中、食事中など、普段の生活の中での姿勢に大きな影響を受けます。
猫背は、ゴルフだけでなく、次のように全身の不調をもたらすなど多くの悪影響を及ぼすのです。
- 猫背の影響
- 肩こり、四十肩、五十肩
- 首こり、ストレートネック
- 頭痛、目の疲れ、めまい
- 腰痛、
- ひざ痛
- 胃痛、便秘
- 自律神経失調
厄介なことに、これらの「症状」がねこ背によるものであることや、そもそも「自分が猫背である」ということにすら気づいていないケースも少なくありません。
ですから、まずはあなたが猫背または猫背予備軍であるかどうかの確認する必要がありますが、
とその前に…、
猫背になってしまうメカニズムを理解していきましょう。
猫背の原因は?
人間の身体はとてもバランスよくできています。
ですから、猫背は身体全体がバランスをとった結果にすぎないのです。
猫背の結果だけを変えようとしても、その大元の原因を解決しなければ、結局、元に戻ってしまうのです。
ではその元凶はなんなのか?
それは「骨盤」です。
猫背の元凶は骨盤です。
どういうことかといいますと…、
背骨は、7個の首の骨(頸椎)、12個の胸の骨(胸椎)、5個の腰の骨(腰椎)、仙骨、尾骨で構成されています。
正常な背骨は、横から見ると緩やかなS字の曲線を描いています。
このS字は、スプリングの機能を果たすと同時に、5㎏ほどもある頭の重さを分散しているのです。
この背骨に連結しているのが「骨盤」です。
骨盤の下部には、股関節を介し、太ももの骨(大腿骨)につながっています。
また骨盤には多くの筋肉がついています。
これら「骨盤の前面(体の前)につく筋肉」と「骨盤の後ろ面(体の後ろ)につく筋肉」が骨盤をまっすぐに保つ大きな役割を果たしています。
つまり、前後の筋肉がバランスを取ることで、骨盤はまっすぐに保つことができるのです。
しかし、パソコンやスマフォを見る姿勢や椅子の座り方など、日常生活上の様々な原因によって、このバランスが崩れてしまうと骨盤は前後に倒れてしまいます。
また、女性はハイヒールをはくことで、骨盤が前傾し反り腰になりやすい傾向にあります。
「太もも前面の筋肉(大腿四頭筋)」や「腰の前面の骨盤と大腿骨をつなぐ筋肉(腸腰筋)」など、身体の前面の筋肉がこわばって縮むと骨盤が前に倒れてしまいます。
その逆に、「お尻の筋肉(大臀筋)」や「太ももの後ろ側の筋肉(ハムストリングス)」など、身体の後ろ面の筋肉がこわばって縮むと骨盤が後ろに倒れてしまいます。
この骨盤という土台が前後に傾くことにより、その上に乗っている上半身もバランスを保つため前後に崩れていくのです。
骨盤が前に傾くと、バランスを取るためにお腹が前に出て、お尻は後ろに突き出ます。
その結果、腰が反り、その反動で背中が丸まります。
一方、骨盤が後ろに傾くと、お尻が引っ込み、腰が丸くなり、首や肩が前に出てきます。
つまり、すべては骨盤が前後に傾くことにより、身体のどこかが出っ張り、身体のどこかが引っ込むという変化が生じるのです。
正しくまっすぐ立つとは、骨盤がまっすぐに立つこと!
骨盤がまっすぐ保たれれば、徐々に猫背は改善していきます!
では、あなたの骨盤は前傾しているのか後傾しているのかを確認していきましょう。
骨盤の傾きを確認する方法は簡単です。
あなたの猫背はどのタイプ?
骨盤による診断
あなたの骨盤は前傾しているのか後傾しているのかの基準は、
「お尻が出ているか、引っ込んでいるか。」
これだけです。
【骨盤前傾の人の特徴】
- お尻が出っ張っている
- 太もも前面の筋肉が硬い
- 腰が反っている
- 内また気味
【骨盤後傾の人の特徴】
- お尻が引っ込んでいる
- 太もも後ろ側の筋肉が硬い
- 腰が丸まっている
- 膝が曲がって伸びきらない
- がに股気味
上半身による診断
骨盤が前後に傾くことで、上半身にも大きな影響が出ます。
そして、上半身に出る影響は、人によって次の4つのタイプに分かれます。
【上半身の4つのタイプ】
- 背中全体が丸まっているタイプ
- 両肩が首よりも前に出ているタイプ
- 顔が胸よりも前に出ているタイプ
- 上記の複合タイプ
あなたのタイプが判明したところで、次はタイプ別の猫背を治す方法をご紹介していきます。
猫背を治す方法
猫背を治す正しい立ち方
正しい立ち方の基本は、胸を張ることでも、背筋を伸ばすことでもありません。
正しく立つためには、骨盤を真っ直ぐに立てること。
つまり、骨盤の傾きによって、次のとおり、お尻の位置に注意してください。
- お尻が出ている人(骨盤が前傾している人)は、お尻をひっこめて立つ
- お尻が引っ込んでいる人(骨盤が後傾している人)は、お尻を突き出して立つ
猫背を治す正しい座り方
続いて、正しい座り方です。
正しい座り方の基本も、正しい立ち方同様に「骨盤をまっすぐ立てること」です。
そのためには、いすなどに座っているときは「お尻の穴を真下に向ける」ようにしましょう。
お尻の穴を真下に向ける意識を持つだけで、自然と骨盤がまっすぐになります。
しかし、すでに猫背が形状記憶されているあなたはこの意識だけではなかなか猫背は治りません。
日々の立ち方・座り方を意識しつつ、形状記憶された猫背をストレッチによって治していく必要があります。
続いては、その「猫背を治すストレッチ」をご紹介いたします。
猫背を治すストレッチ
では、これから猫背を治すタイプ別ストレッチ法をご紹介していきます。
自分がどのタイプかいまいちわからないというあなたは、両方のストレッチを行うことをおススメします。
骨盤前傾を治すストレッチ
骨盤前傾の人がこわばっている箇所は…、
- 太もも前面(大腿四頭筋)
- 背骨から大腿骨付け根についている筋肉(大腰筋)
なので、骨盤が前傾して猫背となっているあなたは、これらの筋肉をほぐす必要があります。
具体的には次のようなストレッチがとても効果的です。
ふともも前面伸ばし
- 立った姿勢から右足の甲を右手で持って、後ろに引き上げる
- 後ろに引き上げた足を10秒間キープする
- 反対側の足も同様に行う
股関節前面伸ばし
- 右ひざを床につけ、左足は前方に出して膝を曲げ、左ひざの上に両手を重ねる
- 体重を前方にかけて10秒間キープする
- 反対側の足も同様に行う
骨盤後傾を治すストレッチ
骨盤後傾の人がこわばっている箇所は…、
- 太もも後ろ面(ハムストリングス)
- お尻の筋肉(大臀筋)
骨盤が後傾している人は、上記画像のようなストレッチは苦手なはずです…。
なので、骨盤が後傾して猫背となっているあなたは、これらの筋肉をほぐす必要があります。
具体的には次のようなストレッチがとても効果的です。
太もも後ろ面伸ばし
出典:SELF BOX
- 椅子に浅く腰かけ、左足を前に伸ばします。
- 左ひざの上に両手を重ねて、下方に圧をかけて10秒間キープします。
- 反対側の足も同様に行います。
お尻もち上げ
- 肩幅より少し足を狭めて座った姿勢になり、両手をひざ裏に回します
- 膝を抱えた姿勢のまま、お尻をできるだけ持ち上げるようにし10秒間キープします
※上記画像は、両手が地面についていますが、骨盤が後傾している人はハムストリングスが固くなっているため、ひざを抱えて行ってください。
上半身の4つのタイプ別のストレッチ
次に上半身のタイプ別ストレッチをご紹介いたします。
背中全体が丸まっているタイプ
背中全体が丸まっているタイプは、脊椎が丸まったままの状態で固まっています。
よく聞く「肩甲骨を寄せるようにする」という方法だけでは丸まった脊椎に働きかけることはできません。
そんな背中全体が丸まったタイプには、「胸骨を持ち上げるストレッチ」が有効です。
- 胸の中央にペンや割り箸を縦に置き、片方の手で押さえます
- 息を深く吸い、ペンが胸と一緒に持ちあがるように胸を広げます
- 息を吸いきったところで10秒間キープした後、ゆっくり息を吐きだします
両肩が首よりも前に出ているタイプ
肩が前に出ると肩甲骨の可動域が狭くなります。ゴルフをプレーする上ではマイナスにしかならないこのタイプは、肩を痛めやすいタイプでもあります。
そんな両肩が前に出ていタイプには、従来からある「肩回し」がおススメです。
肩を回す運動によって、肩の可動域を広げることができます。
- 両肩を後ろに回します。
- できるだけ大きな円を描くつもりで10秒かけてゆっくり回します
- このとき肩甲骨も同時に動かすように心がけます
- できるだけ両肩を後ろまで回したところで、最後は力を抜いて両方の肩をストンと落とします
顔が胸よりも前に出ているタイプ
このタイプは、頸椎が前方に傾いており、「ストレートネック」とも呼ばれます。
このタイプに有効なストレッチは「顔ひっこめストレッチ」です。
その名のとおり、意識的に顔を引っ込めるストレッチです。
- まず、思い切り顔を前に突き出します
- ゆっくり10秒かけて正しい位置へと顔を戻します。
- 胸の上に顔を乗せるイメージで、アゴを引いていきます。
3つの複合タイプ
肩の筋肉(僧帽筋)が首にかぶさり、首がないように見える上記の3タイプが合わさった「複合タイプ」の人は、頸椎症の原因にもなる重症例です。
この複合タイプは、それぞれのタイプ別でご紹介した3つのストレッチを行いましょう。
骨盤タイプ別のストレッチを行うとともに、胸骨持ち上げ、肩回し、顔ひっこめの3つのセルフケアを毎日根気よく行うことで少しずつ猫背が改善されていきます。
猫背を治すストレッチのポイント
1日最低1回は行う
効果が出るまでに数日から数週間は必要です。
なかなか目に見える効果が現れなくても、必ず1日1回は行いましょう。
ストレッチは、時間があるなら何度行ってもOKです。
骨盤ストレッチとタイプ別ストレッチを併用する
間違ったエクササイズはいくらやっても効果がありません。
ストレッチは正しく行えば、たった10秒でも効くものです。
義務的に適当にストレッチをこなすことには意味がないばかりか、間違ったストレッチは逆に腰痛などを引き起こす可能性があるので注意が必要です。
ストレッチで正しい「形状記憶を呼び起こすこと」をイメージしましょう。
日常生活で注意すべき事項
鏡を見る習慣をつける
骨盤の傾きを常に意識することが重要です。
そのためには、鏡を見て、お尻が引っ込んでいるかどうか、少しお尻を突き出した状態になっているかどうかを常に確認しましょう。
大またで歩く
背中を丸めた猫背の状態では、大またで歩くことはできません。
大またで腕をしっかり振って歩くと、自然と背筋が伸びます。
日ごろの歩く歩幅を意識することで、股関節の柔軟性を保つことができるため、猫背解消に効果があります。
正座
骨盤が前掲している人は、大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)や脛の筋肉(前脛骨筋)が固いため、容易に正座することができません。
骨盤前傾の人は、足首の硬さ、脛の筋肉(前脛骨筋)を伸ばすことで、前傾改善効果が期待できます。
アキレスけん伸ばし
骨盤後傾の人は、アキレス腱を伸ばすことでも、後傾改善に効果が期待できます。
バンザイ
肩が前に出るタイプや背中が丸まるタイプは、「バンザイ」を行うことで状態の癖を直すことができます。
ゴルフに必要な肩の可動域を広げるのにも効果的です。
まとめ
以上「猫背を治す方法」をご紹介しました。
猫背が治ることで
- 身長が伸びる
- 骨盤が立ち、背筋が自然と伸びるので身長が伸びる
- 骨盤を整えるストレッチで血流が良くなり、新陳代謝がよくなる
- ポッコリお腹が解消される
- 胸が自然と開くようになるため、バストアップ効果も期待できる。
身体的にも多くのメリットがある上に、もちろんゴルフのパフォーマンス向上も期待できます。
猫背のあなたも、猫背予備軍のあなたも是非お試しください。
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